「またお越しください」

 先日,コンビニエンスストアと書店で買い物をした際,いずれの店舗でも,レジの対応をされた店員さんから「またお越しください」と言われました.

 以前までは,レジを済ませた際,「ありがとうございました」といわれるのが多かったと思っていたため,やや違和感を感じましたが,カスハラを防止するための従業員としてのマインドセットという意味があるのだろうと勝手に納得しました.

 いいことだと思います.

 以前,新聞配達をしていたとき,その雇用主であった所長は,経済人であること,それにより雇用を産んでいることなどを誇りとしていました.
 そのため,新聞の購読者に対しても,サービス品目当てに契約をして,購読料を支払わない客に対しては,他の客に対する公平感が損なわれるなどの理由で厳しい対応をしていました(私に対して裁判の申立てを依頼し,執行官とともに,自宅に差押に行くこともありました.).
 また,対等の立場で契約したということを重んじ,一方的に期間途中で購読中止の申し入れをしてくる購読者に対しても同様でした.

 その反面,新聞の営業等を行う従業員の中には,その職業をかなり低く考えている方もおり,要するに「新聞をとってもらっている」という感覚で働いていたことが,言動の端々からよく伝わってくることがありました.

 私としては,とある某パン工場のアルバイトを断られたことがあるという経験から,(ここでは「採用されて」)当たり前と思うことが当たり前でなかった場合の不利益の大きさを知っていました.そのため,所長の経営姿勢や考えに触れ,「新聞を購読したいと思いながらも,どの販売店も契約してくれなかったら新聞を読むことができなくなる」ということを切に感じたものでした.

 このことは,新聞だけでなく,「何かを購入したいと思っても,それを拒否されてしまえば購入できないことになる」ということで,例えば,コンビニエンスストアで,おにぎりを手に取りレジに運んだとしても,そこで販売を拒否されるということもあり得るという考えにつながります.
 もちろんそのようなことは容易には起こり得ないとしても,カスハラを理由にそれが現実化したとき,それ自体を否定ないし非難することはできないと思います.
 飲食店等では,飲酒等に伴う素行の悪さを理由に「出入禁止」とされることが昔からありましたが,今後は,どのような商業施設においても,同様のことが容易に起こりうるかもしれません.

 コンビニエンスストアのレジで,「ありがとうございました」どころか「またお越しください」でもなく,「今後のご来店はお断り致します」と言われるようなことがないよう,普段の素行には気をつけたいと改めて感じたところでした.