学校内でのいじめ(暴行,傷害,その他)について,警察へ通報するケースが増えているとの報道に接しました。
その記事の中で,学校では,「教え子を警察に売るのかという」意識が強く残っているとの記載もありました。
しかし,このような考え方は肯定されるべきでしょうか?
確かに,教師として教え子の将来を考える,あるいは,学校の指導により,加害者を更正させて問題を解決するということは,学校のありうべき姿かもしれません。
しかし,この場合,被害者側からすれば,公平・公正な対応がされないという不満が生じる可能性は大いにありますし,学校の判断で,警察に通報するかしないかの裁量を有することは,学校としての中立性に疑問も生じかねません。
少なくとも,「いじめ」という表現がされる行為・事件であっても,犯罪に当たる行為については,警察の捜査の対象としない理由はありません。
その上で,加害者・被害者が同じ未成年者で学生という立場にあることは,その後の処分の際に考慮されるべきことのように思われます。
「いじめ」であることを理由に,教師が,加害者の更正に強く関わるべきとの考え方については,警察に通報するかどうかではなく,司法手続に関与することで果たすべきではないかと思います。
つまり,教師は,加害者が付される刑事裁判又は家庭裁判所の少年審判において,その更正に協力することを裁判所に対して申し出ることにより,加害者の更正に関与すべきではないかということです。
異論はあるかもしれませんが,私自身,冒頭のような考え方については,教師としての矜持等を感じるところではありますが,やはり,手放しでこれを肯定することはできません。