昔,轍にハマった車,縁石に乗り上げて自走できなくなった車があると,どこからともなく,複数の方々が集まってきて,みんなで「よいしょ」という感じで車を持ち上げて復旧させて去っていく様子を比較的多く見かけたような気がします(気がするだけで,客観的な統計値によるものではありません.).
随分前のサッポロビールのCMでそんな場面があり,何人かの男性が自然と集まってきて,自動車を持ち上げて縁石から外すというものがありました.
トラブルが解決したのち,男性たちは,運転手がお礼を言うのを待たずにそれぞれ元々の行き先に向かって歩き出すと,その時にみな,サッポロビールの6缶パックを手にしているというものだったように記憶しています.
率直に「そんな大人になりたい」と思ったことがありました.
ここ最近,個人からの依頼のうち,そのいくつかが上手く解決し,かなり安堵しました.
弁護士は,元々なりたい職業であったわけではなく,生活もあってやっている面があるけれど,やはり,うまくいった時,あるいは感謝される時はそれなりの充実感や満足感を感じます.
弁護士にとって,会社からの依頼だと,1回限りというよりも継続的に依頼が来ることもあるため,良い時も悪い時も含めてお付き合いをする感じの場合が多いですが,個人からの依頼は,基本的に1回限りが多いです(反対に,何度もトラブルが起こるような場合はむしろよくないと思っています.).
個人の依頼者については,そんな関係だからこそ,その依頼が無事に解決した時には,そのCMの出演者の演じた役のように,冷えたビールが緩くならないように,何ごともなく急いで去っていくような感じでお別れできれば良いと思っています.
ですから,依頼者と最後にお会いする際は,「また何かあればよろしくお願いします」ではなく,「もう何事もないようにお願いしますね」といってお別れしています.