今年の4月に先代のローマ教皇(法王)がなくなり,今月,あらたな教皇が選出されたのはご記憶に新しいと思います.
その選出する過程・手続のことを「コンクラーヴェ」と呼ぶそうです.
日本における,「天皇」についても,憲法及び皇室典範の定める世襲制ではなく,希望者のうちから適格性を有した方を「皇族資格者」として,その中から,コンクラーヴェと同じような方法で「天皇」を選出するようにしたらどうだろうかと思ったところです.
そのように思う理由は,「天皇」を世襲とすることで,本人の意思によらずに,その人(天皇)の一生を国家の制度に組み込んでしまうことに,私が反対だからです.
憲法1条は,「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」と規定し,同2条は「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と規定しています.
要するに皇室に生まれた以上,「天皇になりたくない」「皇族はいやだ」と言えないということです.
憲法4条は「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」として,天皇は,政治的な行為を行わないものとされています.
そのため,天皇であることに特殊な能力は求められていません.世襲(血のつながり)であることにどれだけの意味があるかといわれても,歴史的な理由はあるとしても,それだけの犠牲を強いるだけの理由になるとは到底思えません.
そして,同1条が「象徴」とするのであれば,「皇族資格試験」のようなものを作り,天皇が政治的な権能を有しないことをはじめ,過去の皇族の行為などの歴史上の出来事等について基本的な知識等を備えた方を合格者として「皇族資格者」とし,その方々により日本版コンクラーヴェを行い,「象徴」にふさわしい方を選ぶというのが良いように思いますが短絡的でしょうか?
「天皇」となることが,一般国民に対しても門戸が広げられれば,それを利用して政治的な活動を行おうとうすることは危惧されますが,憲法3条が「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」と規定し,前述の憲法4条で権能は制限されています.
その上で,そのようなことを理解し,「象徴」を任せて良いと判断される方をその時々の「天皇」とすることでよくないでしょうか?
天皇は男系男子に限り,それを維持すべきなどの議論がされていますが,生まれながらにして,「皇族」としての地位と責任を負わせるという制度は,現代においては,やはり無理があると言えないでしょうか.
憲法改正を検討するに当たっては,まず,この点の改正をしてはどうかと思いますがいかがでしょうか?