保険証が廃止されるということで,ここまでマイナンバーカードを作らずにいた私ですが,とうとう,申請をしてしまいました.
しかし,便利さのあまり,スマートフォンから申請したことについては反省というか後悔し,早計であったと思っています.その理由は,私のメールアドレスが行政に知られてしまった点にあります.
マイナンバーカードについて,とある方は,「作ったところでメリットもないし何か優遇されるわけでもないし」と言って,作るのを渋る方がいました.
しかし,行政の効率化については,私自身が公務員であったこともあり,それ自体は認められるべきことで,自己への優遇があるかどうかで行動を決定するというのは利己的に過ぎるかと思います.
私がこれまでマイナンバーカードを作らなかったのは,自らに対するメリットの有無ではなく,自己の情報が一元的に管理されるということに対する危惧感というか嫌悪感からでした.
テレビではワイドショーが,週刊誌やネットではゴシップ記事が,芸能人に限らず,何かしら他人のプライバシーをネタにして視聴率,視聴者数を稼ぐことが当然として行われています.おそらく,人に備わった他人に対する興味関心という本能が存在するからなのだと思います.私自身もそのこと自体は否定できません.
ところが,このようなことは,芸能人のプライバシーなど,娯楽ともいえるような場面だけで認められるかというとそうではなく,時の権力者が,自らを批判する言動に対し,そのことを不快に感じた時は,どこの誰の発言であるか,どのような者であるのか,その発言だけでなく,その発言者の思想・信条や身上関係にも関心が向けられるはずです(私の公務員としての経験上,そのように感じる場面というのは,比較的多く目にしてきたと感じています.).
これが,単に,一般市民が芸能人に対して抱くような関心であればともかく,そうではなく,権力者がこれを行うことは,国民に対して,政治的な発言等を萎縮させることに繋がりません.
実際,岐阜県警の大垣署では,発電所の建設とは全く関係を有さない方の情報が,活動家だからなどという理由だけで収集され保管され,更には第三者に提供されていたという事実が明らかとなっています.権力者により,これと同じことが行われないはずがないというのが私の認識です.政治家や官僚も同様です.
そうすると,マイナンバーカードを作ったところで,それまでの人生と何ら変わらない毎日を過ごせていたとしても,一度,権力者の反感を買うような言動に及ぶやいない,身分上のことだけでなく,健康保険の被保険者としての情報を介して,病歴などについても紐づるしきで手繰り寄せることができることになる(だろう)このマイナンバーカードという制度は,私にとって,鬱陶しいだけのものでしかありません.
そのため,これまで,マイナンバーカードを作らなかったのはこのような理由からでした.
そうでありながら,行政の効率化を否定する気はありませんし,病院にかからずに生活することもできないため,やむなく,申請するに至ってしまいました.
しかし,申請するにあたり,スマートフォンから自己のメールアドレスを入力したため,行政が保有する私の個人情報の一つに,このメールアドレスが加わったことを考えた時,場合によっては(憲法21条はありますが)検閲の対象にもなりかねないと思わざるを得ません.
そのため,便利さに負け,安易にスマートフォンから作成を申請してしまったことが悔やまれます.
マイナンバーカードは作ってしまいましたが,今後も,必要以上な情報を行政(権力者)に渡さないよう,気をつけたいと思っている今日この頃です.