大阪はそのままでいて欲しい

 司法修習生の頃,実務修習として,1年間を大阪で過ごしました.
 その時,街全体が,
 「No.2でいいけど,東京の後追いはしない」
 という感じを醸し出しているように感じたことがとても印象深く,大阪での生活を今でも懐かしく思い出します.
 最近は,JR大阪駅や地下鉄梅田駅近辺が整備されてはいますが,東京ほど洗練されていない感じや,東京ほど広くはないながらも,でも,ギュッと濃い文化が集まった街という感じがとても好きで,1日も長く大阪生活が続けばと思うほど,居心地が良く感じました.

 例えば,大阪駅前ビルには第1から第4まであったりとか,一番の主要駅なのにJR「梅田駅」はないとか,梅田の地下鉄に通じる階段を降りていくといきなり立ち飲みの串カツ屋があったりとか(今は立ち退いているかもしれません),地上に出れば異常なほど長く続く商店街があったりとか,その反面,御堂筋沿いはオフィス街なのに建物の高さが制限されたりとか,美容室で女性の髪の盛り方が派手だったりとか,甲子園は大阪にはないはずなのにタイガースのテーマ曲が至る所から聞こえてくることなどなど.
 また,電車の駅の呼び方についても,東京も「ニコタマ」(二子玉川)と略すことはありますが,大阪で「タニヨン」(谷町4丁目)とか聞くと,ちょっとズレた(?)センスの良さというか独特さを感じられます.

 それなのに,大阪が「副首都」やるんですか?

 災害とか,有事において東京が機能しなくなる場合に備えるのは必要だと思いますが,それって,副首都があるから大丈夫という状況ではすでにないように思います.

 また,一部の省庁を移転するとかいうのは,以前から,政治家が地方のためにリップサービスで言ったことがあったような気がしますが,霞が関の勤務経験がちょっとだけある立場からすれば,官僚は誰1人望まないはずです.
 国会答弁等で,省庁間での調整が必要なときに,物理的な距離があるのはオンラインを駆使するとしても,歓迎されないと思います.
 しかも,国会議事堂は東京にしかないんですから,国会の同意案件とかあれば,東京でやるしかありませんよね.

 副首都構想の狙いとして,東京の一極集中を是正するという狙いもあるようですが,「副首都」というラベルを貼っただけで何とかなるようには思えません.
 まして,人口がこれから減ることを考えれば,狭い国土と資源の乏しいこの国が,世界の中で存在感を示すためには,抜き出た存在の東京があってのことのようにも思えます.

 なお,福岡市もこれに手をあげようとしているようで,それを理由に福岡を副首都に推したいというわけではありませんが,大阪に,そのような肩書きをつけることについては,なんか,ちょっと違うような気がします.

 さらにいえば,政治において,今,急いでやるべきことなんでしょうか?

 いずれにしても,福岡で当たり前のように串カツが食べられるようになりましたが,大阪はずっと,そのままでいて欲しいです.