高校生の頃

⚫︎下から100番目

 高校は,地元では一応,名の通った進学校に進みました(とある有名で大御所芸能人の出身校です.).
 福岡県では,いくつかの私立を除いては,公立高校の方が進学校として認知されているため,高校入試では,一応,勝ち組のような立場になることができましたが,それも束の間,高校に入学してみれば,550人中450番目以下の成績からのスタートでした.

⚫︎上達しないバスケット

 また,高校に入学してからもバスケットボールを続けましたが,中学校の頃と比較すれば厳しい練習が毎日行われ,そうすると,少しは上手くなることも期待できるはずが,元々の運動能力の低さだけでなく,瞬間的な判断能力の乏しさや,それに加えて,内向的な性格が仇となり,全く上達することがありませんでした.
 そのため,中学校の時は,比較的多く試合にも出られたことで,自分の能力や可能性を見誤ってしまったのだろうと思いますが,上達しないことに悔しさを覚えると共に,周囲からのダメ出しを受けることも多く,苦悩の毎日でした.

⚫︎この頃から真面目(臆病)なヤツでした

 もっとも,勉強については,成績が下位からのスタートということで,「予習をしなければとても授業についていけない」という状況認識だけは正しくできたことに,生まれつきの生真面目かつ臆病な性格が幸いし,毎日の予習は欠かさずに授業を受けていました.
 このころは,部活で疲れ果てた体に鞭を打ちながら,翌日の授業のために,国語,英語,数学の予習をやっていたことを今更ながらに思い出します.非常にきつい毎日でした.そのため,最初は電車で通学していたのですが,荷物の多さや,そのような荷物を持ったまま徒歩で移動するよりも自転車のほうがラクだと判断し,自転車通学(およそ30分)をするようになりました.

⚫︎最後の運動会?

 そして,高校3年生となり,ほとんど試合に出ることもできず部活を引退したのちは,大学入試に向けた受験勉強一色の生活を送ることとなりました.
 もっとも,私の卒業した高校は,生徒にとって運動会が,文化祭と予餞会と並ぶ一つのメイン行事でもあり,特に,3年生にとっては,各ブロックのリーダーとなって運営するため,非常に盛り上がる行事の一つとされていました.
 ところが,やはり,生まれつきそのようなノリに馴染めなかったのでしょう,1,2年生の頃は,全体的な雰囲気もあり,また,運営に責任を負うような立場でもなかったため,比較的楽しんで運動会に参加していましたが,3年生の時は,本番当日,同級生の一部は,感極まって涙を流す人なども多くいましたが,周囲のノリについていけずに,ただの一般参加者として,粛々と参加して終わってしまいました.

⚫︎とても「いい奴」

 今思えば,中学生の頃に感じた周囲とのずれは,やはり高校生となっても存在し続けていたのだと思います.
 高校1年のある時,クラスの級友に「人生って何か目的みたいなものがあるのかな,ゲームと同じように,何かを達成したら人生をクリアしたということにならないのかな」というようなことを言ったことがあります.
 それを聞いた級友からは「中野くん,お願いだから死なないでね」と真顔で言われたことがありました.
 その時の私の考えというのが普通ではないのはその通りですが,その級友がとっても「いい奴」だったということは今更ながらに思い出します.

⚫︎大学受験と進路変更

 高校生としての最後のイベントである大学受験は,幸いにも,1年生の頃からコツコツと予習だけは欠かさずやっていたことが功を奏したのか,志望校に無事に合格することができました(ちなみに,最後の理系の実力テストでは,上位3位まで成績が上がったように記憶しています.).

 実を言いますと,入試のかなり直前の段階で志望校と学部を変更しました.
 部活を引退した直後,当初は,医学部に進もうと考えていたのですが,その理由を自分の中で明確に説明できるものがなく,周囲に医学部志望の級友が比較的多くいたことや,なんとなくの雰囲気に飲まれてしまい,漠然と医学部を志望していたというのが正直なところでした(一応の理由はありましたが,それも周囲の影響でしかありませんでした.).
 そのため,それほど熱意を持って医学部に行きたいと考えていたわけではないため,受験に対する熱意が燃料切れを起こしたのだと思います.そうした時,その代わりに沸々と湧き立つ感情があり,その時出てきたのが,「物理をやろう」という自分の中の欲求というか欲望でした.
 物理現象を理論化し,数学という道具でこれを記述した結果の美しさや論理性(その結果の整合性)の高さが,その時の自分を一番ワクワクさせてくれたことを思い出し「理工系の大学に行こう」と考えるに至りました.
 その結果,進路を変更し,当時の東京工業大学(2024年10月1日から「東京科学大学」に名称を変更)を受験し,無事に入学することができました.

 この時の選択は今でも正しかったと思っています.
 数式やそれにより記述された物理法則に出会うとワクワクします.「大人のパズル」のような感覚で,大学入試の問題を解くことが今でもありますし,それが解けた時の感覚は,他のことではなかなか味わえないと思っています.