【補佐人について】
2014年11月14日,第8次社会保険労務士法改正案が可決成立し,社労士の先生方は,事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について,補佐人として,訴訟代理人である弁護士とともに出頭し,陳述をすることができるようになりました。
【当事務所のスタンス】
弁護士の中には,社労士の先生方が労働事件に関与することを,ことさら嫌う方もいます。
しかし,当事務所では,開業以来,社労士の先生方と,事実上,共同して,いくつもの労働事件の解決にあたってきました。事件の内容は,残業代請求は当然のこととして,解雇,パワハラ,労災事故等多岐にわたります。また,実際に,社労士の先生に労働審判廷に入廷してもらい,その力を借りながら,調停成立に至った事件もありました。
もし,社労士の先生方の顧問先の事業主が,その従業員との間でトラブルを抱えているのであれば,訴訟等の事件に至る前から,是非,当事務所にご相談ください。そして,訴訟等に至った場合には,是非,補佐人として共同して事件解決に当たりましょう。
【補佐人に求められるもの】
ところで,弁護士が,労働事件において,社労士の先生方に求めるものは何でしょうか?
とある弁護士は,社労士の先生の専門的な知見,つまり,先生方の専門的な意見がそのまま証拠になるであろうということを述べていました。本当にそうでしょうか。
【証拠の収集ないし作成】
社労士の先生方の専門性に期待しないわけではありませんが,当事務所が社労士の先生に期待することは,次の2点です。
1つは,証拠の収集ないし作成です。
労働事件が生じる現場において,日頃から,それに関連する書類関係の整備に携わっている社労士の先生方であれば,トラブルが生じた際に,その事実関係を証明するための最良の証拠を迅速に収集することができるはずです。
また,日頃から携わっている事務に関連して,裁判官が,事実関係をより理解しやすい証拠等を作成することも期待されます。その典型的な例が,残業代の計算表といえます。
この時の,弁護士と社労士の先生方との関係は,刑事事件における検察官と労働基準監督官との関係と似ているといえます(私もかつては,労働基準監督官でしたので,この関係は,よく理解できます。)。
【事業主と弁護士との仲介ないし連携】
もう1つは,事業主に代わって,事業場のことを理解し,その上で,弁護士との仲介ないし連携を図ることです。
前述の点とも重複しますが,弁護士が,事件解決のために,事実関係の把握や証拠の収集ないし作成を効率よく行うためには,その事業場のことをよりよく理解している必要があります。労働基準監督官が臨検監督をする際に,その事業場のことを十分に理解している顧問社労士の先生がいる場合といない場合とで,事務処理の効率は大きく異なります。
それと同様,弁護士が,事件処理のために事実関係を把握するには,事業場に関する全てのことを,1から調べることは非常に労力を要することと言えます。その時に,労働事件に沿った弁護士の考え方を理解し,かつ,事業場のことを十分に理解している顧問社労士の先生方の存在は,全ての事務の効率を高めてくれる,頼りになる存在であるといえます。
【終わりに】
補佐人として,労働事件に関わることは,これまでの手続を中心とした事務と大きく異なります。また,裁判手続に関連する事務処理は,補佐人としての経験が少ない先生にとっては,慣れないことの連続で,大変なものだと理解しています。
しかし,当事務所に(できれば,訴訟等の手続に至る前から。)ご相談の上,事業主の了解のもと,共同して事件解決にあたっていただけるのであれば,補佐人として必要となる知識について十分に説明の上,先生方の補佐人としての手続を,十分にフォローいたします。
当事務所にご相談くだされば,労働基準監督官,特定社労士実践塾の第1研修の講師等の経験を踏まえ,他の弁護士事務所では決してできない,社労士の先生方との効果的な共同作業を実現することをお約束いたします。
そして,このことは,弁護士にとってではなく,事業主にとって,きっと,社労士の先生方の価値を高めるものとなるはずです。