【お問い合わせ事例】
知人から,お金を貸して欲しいといわれています。
【回答】
1,貸すべきではない
あなたが貸金業を営んでいるのでなければ,知人ということを理由に貸すことは避けるべきです。お金を必要とする理由はともかく,銀行で借りることを勧める,一緒に窓口まで行くなどすることが賢明だと思われます。
単に生活に困っているということであれば,市役所で生活保護の申請を行う,ハローワークに行き仕事を探すなど,アドバイスするべきです。
2,あげた方が良い
どうしてもなんとかしてあげたいと思うのであれば,貸すのではなく,可能な範囲で,お金をあげたほうが良いと思われます。「本当に返してくれるだろうか。」と疑心暗鬼になって知人・友人関係が破綻していくぐらいなら,その方が良いと思います。
あるいは,財布の中にあるお金を全て差し出して,それ以降の知人・友人関係を絶ってしまった方が良いかと思います。
3,貸すのであれば
一応は,返してもらえないことを覚悟すべきです。
借用書を作成することは,最低限行うべきです。可能であれば,保証人をつける,不動産を担保にいれるということも行うべきです。
さらに,現金で渡すのではなく,銀行口座に振り込んで貸す方が良いでしょう。理由は,返してもらえないときに,銀行の預金を差し押さえることが必要な場合があります。その時,預金がどこにあるのかを調べることは意外に大変です。また,振込であれば,お金を渡したことが記録に残ります。そのようなことから,銀行口座を確認できるよう,振込にしておく方が良いと思われます。
なお,私が弁護士を始めてから以降,個人間でのお金の貸し借りで,最終的にお金を返してもらったという方を見たことがありません。もちろん,返してもらえないから弁護士事務所に相談にくるのだと思いますが,とある依頼者は,お金を貸す時に,振込で貸したことから,たまたま,知人の預金口座を知っていました。そのため,裁判を起こし,判決が出た後に,預金口座を差し押さえて,約160万円を取り戻したことがありました。この事件は,引き続き,財産を探索して,返還を求めている最中です。
お金を貸す時は,本当に貸すべきか,貸すとすればどうすべきか,よく,ご検討ください。あらかじめご相談に来られた上で,判断されると良いかと思います。