【相談内容】
刑事事件を依頼するにあたって,良い弁護士の見分け方を教えてください.
【回 答】
今,ご依頼をしようとしている弁護士が,必要な能力を有しているかどうかの見分け方として,次の規則の各条文の意味と違いについて尋ね,納得・理解できる説明がされるのであれば,そうではない先生よりは,遥かに信頼して良いと思われます.
(条文)刑事訴訟規則199条の10,11,12
以前,良い弁護士かどうかの見分ける方法として,「判例」の意味を理解しているかどうかということを挙げましたが,上記の刑事訴訟規則の条文は,刑事弁護をするにあたってとても重要です.
「刑事弁護」などの検索ワードでネットを検索すれば,数多くの弁護士事務所のHPが上がってくると思いますが,そのほとんどは,上記条文を使う場面(法廷)よりもはるか手前の場面での依頼を狙ってのものだと思われます.
つまり,犯罪行為に及んだこと自体は争わず,これを認めた上で,被害者との示談等を通じて,起訴猶予とすることを主たる目的とした事件を対象としたものばかりです.
もちろん,上記のような捜査段階での刑事弁護の重要性を否定するつもりはありませんが,しかし,争いがある事件については,法廷に移ってからの弁護活動が遥かに重要となってきます.
その場合において,上記各条文の意味やその違いを理解して使いこなせることは,十分な弁護活動を果たすために必要不可欠ともいえます.
そのための準備を怠らず,上記各条文の意味を理解し使いこなせるようにしている弁護士であれば,それ以前の捜査弁護においても,十分な対応が期待できるものと思われます.
刑事事件の場合,時間との戦いもありますので,最初にご相談に行った事務所でそのまま依頼をすることになり,上記のような質問をするだけの余裕はないかもしれません.
しかし,万が一,目の前にいる弁護士に対して疑問を抱くようなことがあれば,これを試してみることは,悪い弁護士を引かないという意味でのリトマス試験紙として役に立つものと思われます.