問題のある従業員がいます

【お問い合わせ事例】

とある従業員の勤務態度に困っています。理由は,別の従業員に対してパワハラとも言える言動に及んぶため,パワハラを受けた従業員は,こらえきれずに泣き出してしまうこともあります。

そのため,法律事務所や社労士事務所でこの従業員さんのことを相談しても,「注意して指導しましょう。」と言われますが,かえって反抗的な態度を取られてしまい,手に負えません。また,「指導した記録を残しましょう。」とも言われますが,その日の指導した内容は,私の手帳に書き留めています。

すぐにでも解雇したいと思いますが,いかがでしょうか。

【回答】

すぐに解雇することは,一旦思いとどまるべきです。理由は,解雇するだけの理由があると言えるかどうか十分に検討する必要がありますし,必要があるとしても,そのことが明らかとなる資料を残しておく必要があるからです。

そのためにも,パワハラがあれば,指導して,その記録を残す必要があります。その際,タイトルはなんでもいいので,「指導書」を作成してパワハラを行った従業員に交付してください。

この時の指導書作成及びその取り扱いのポイントは以下のとおりです。パワハラだけではなく,業務中の問題行動があり,指導しなければならないことがある場合もこのような方法をとると良いと思われます。

(1)パワハラとして行われた事実を,5W1Hを意識して具体的に記載すること

(2)指導書の作成者と作成日付を記載すること

(3)パワハラを行った本人に交付して,上記(1)が事実であり間違いがないことを確認し,その旨および指導書受領のサインをもらうこと

(4)上記(3)で受領を拒んだ場合には,無理に受領を求めずに,そのことを付記すること(「受領しません」とのサインを求めることができればその方がベターです。)

(5)指導書の記載事項について,期限を定めて,改善(ないし反省)の報告を,書面でもらうこと

(6)指導書と本人からの改善報告の書面を,会社内の管理職ないし担当者で回覧し,回覧した記録を残すこと

以上のような指導の結果,それが改善されなければ解雇も検討しなければならないと思われますが,改善されれば,解雇の必要もなくなると思われますし,その方が,企業としての労務管理上のリスクは少なくなるはずです。