今日,土曜日ながら事務所で仕事をしていると,一本の電話がかかってきました.
何の電話かというと,間違いなく「特殊詐欺」です.
ディスプレイに表示される番号(8643099507)は,市外局番から見たことない番号で,怪しいなと思いながらも,「世論調査かも?」と思いつつ受話器を手に取ると
「〇〇ファイナンスリースです」
とのコンピューターの自動音声が最初に流れ,その後,クレジットカードの未払金に関する重要なお知らせががあるとかないとかアナウンスが流れた後に,最後に,
「オペレーターにお繋ぎするのをご希望の方は『8』を押してください」
とアナウンスが流れました.
その時点で,「8」しかないことに怪しいと思いながら,依頼を受けている事件,主に自己破産で,そのリース会社に関係がある方がいるかと記憶を掘り起こすけれど,思いあたらず,結局,「このリース会社は関係ない」との結論に至りました.
そのため,「詐欺確定だ」と思い,そのまま電話を切ろうと思いましたが,せっかくの機会だからと,仕事を中断して,電話機の「8」をプッシュしました.
そうしたところ,受話器の向こうから「オペレーターでの対応をご希望の方ですね,担当の〇〇と申します」という人間の男性らしき生の声による対応が始まり,そしてご本人確認のためということで,
「お名前と生年月日をお願いします」
と告げられました.
これを聞いた私は,「やっぱり詐欺だ」と思いながら,次のようなことを言いました.
「はっ?電話番号わかってかけてきているんですよね.
しかもリース契約の相手とわかって電話しているんですよね?
そっちの把握している名前を告げて確認してくださいよ.
なんでこっちから名乗る必要があるの」
です.捲し立てるようにそう告げたところ,オペレーターは
「電話先が誤っていた場合に個人情報が,」
などと言いながら,
「お客様からお名前を言っていただく必要があります」
などとと言う(名前を知らないから言えないか,マニュアルがある)ため,私から,
「名前言えばいいやん.そちらで把握している私の名前を言って,合っていればいいし,間違っていても,たった一つの別の名前を出しただけで,それを使って何かできるわけでもないし,何か問題になることないよね.電話番号だって,わかってますよね.その番号にかけて,こっちに電話がかかってきて,それで私が出ているんだし,問題にはならない」
とさらに捲し立て,
「名前を言わない限り,この電話は対応できない」
と告げると,電話の担当者は,「わかりました」と言った後に,あっさりと電話を切りました.
そのため,そこで私が思ったのは,
「ほら,やっぱり詐欺だ」
ではなく,
「しまった,偽名使って,その先の話に進めばよかった」
でした.あるいは,こっちから3択で名前出して,例えば,
「田中,佐藤,鈴木のどれかが私の名前だからその中から当ててみろ」
と言って,相手に当てさせてもよかったなと思い,その先の詐欺の手法に接するという貴重な経験をする機会を逃してしまったと悔やんだところでした.
なお,この3択には,正解の「中野」を肢に含めないことに意味がありますが,そう思ったのも後の祭りです.
私の頭の回転は,まだまだ未熟だと痛感したところでした.
職業柄,裁判などの仕事では,嘘をつかない範囲で事実関係を争い,相手の隠していることを暴き,反対にこちらの不利なことは明らかにしないという習慣がついています.
そのため,上記までの,こちらから嘘をつかないまでの対応(自分から名前を言わないこと)はすぐにできたのですが,性格上,嘘をつくことが苦手な性分であることも相まって,残念ながら,電話の中で,嘘(偽名)を述べることまでは頭が回りませんでした.
電話の受話器をおきながら,「いつもながら機転が効かないな」と反省しながら,今の私の限界はここまでなのだろうと,改めて思ったところです.
つまり,弁護士にはなれても,嘘をつくなどして相手を騙すことを生業とする詐欺師には,到底なれないということです.
残念ながら,そこまでの賢さはありません.
そんな私でよければ,弁護士として,いつでもご相談の予約をお待ちしております.