抜歯について猫は意見が言えない

 皇室典範の改正が議論され,皇族の確保から皇位継承をどうするかまで話が及んでいます.このことを,うちの猫のことと比較するのは「罰当たり」と言う人もいると思いますが,以下のとおりです.
 なお,「罰当たり」の意味は,「人」と「猫」を比較することを指してのことで,特に,皇族や皇室というものに「人」を超える意味を与える意図はありません.

 うちの飼い猫(保護猫)のうち,最も古株の雄猫が歯肉炎になり,歯を全部抜くかどうかという選択を迫られています.お世話になっている先生は,全て抜くのではなく,悪いところだけ抜くということも考えていいかもしれないということをおっしゃいました.

 私も知りませんでしたが,猫が歯肉炎になると,基本的には,全て抜歯してしまうそうです.理由は,次々に歯が悪くなる可能性があるからです.
 一本でも抜歯するには,全身麻酔を必要とし(猫が人間みたいにおとなしく口開けて我慢するはずないですよね),そうするのであれば,全部抜いてしまおうということのようです.
 その方が,歯が悪くなるために何度も全身麻酔をする必要もなく,猫の負担も軽くなるからということが理由のようです.

 しかし,人間であれば,歯を残すという発想で治療するのが通常ですよね.
 そうすると,猫については,麻酔の負担が理由というよりも,何度も病院に連れて行くなど,飼い主の負担を減らすことが目的であり,結局は,人間の都合が優先されるというのが実質的な理由と思われます.
 猫だって,歯があって困ることはないはずです.

 そのため,お世話になっている先生の発言は,獣医の基本路線からはズレてしまうことですが,その先生が言うには

「動物は言葉が喋れないから,飼い主さんが代わりに言ってもらわないと.」
「キバを抜かずに尊厳を守ると言うことでもいいと思います.」

と言うことでした.

 そこで考えたんですよね,自分が猫だったらどう思うか.

 皇族については,悪い歯を抜くかどうかということが問題ではありませんが,昨今の議論を聞いていると,皇族の方々は,基本的に蚊帳の外です.
 皇族の方々も人間で,考えがあり,意思もあり,それを表現するだけの言葉及び手段があり,何より,ご自身の人生があります.
  国会議員が「立法府の総意」という言葉で結論を出し,これから改正されるであろうその内容が,皇族の方々のことをどれだけ代弁していると言えるのか,私としては疑問に思わざるを得ません.

 例えば,皇位継承は「男系男子」だけといわれれば,皇族の女性はその身分が低く見られているという現実を身をもって感じなければならないはずです.
 これについては,意外に,皇族の女性方が,「ラッキー」と思っているぐらいであればちょうど良いかもしれませんし,反対に,皇族の男性からすれば「なんでいつも男だけが」という感覚を有するかもしれません.

 また,旧宮家の男子を「養子」にもらい,その養子の子が男子であれば皇位継承するとの発言もありましたが,その場合,養子夫婦は子どもを産むための「機関」とされるわけですよね.
 しかも,それが男子でなければならないという圧力を受けて生身の人間がその役目を務めなければならないという,私からすれば,「過酷」「残酷」以外の言葉は思いつきません.
 自分の子が男の子であるかどうかという極めて私的な事情について,全国民から注目され,男の子が生まれなければ「役立たず」との烙印を押されるような身分(養子)となることを好んで行う人がいるんでしょうか.
 さらに,生まれてきた子はどう思うんでしょうか.生まれながらに宿命を背負わされるということは,1人の生身の人間にとって,あまりにも過酷すぎませんか.

 皇族の方々からすれば,立法府の総意,その背景にある国民の総意は,自分たちの都合を押し付けるものとしか思われないのではないでしょうか.

 私個人の意見を申し上げれば,皇族の人数が減るという事実を踏まえ,皇室による天皇の皇位継承は放棄してしまうのが良いというものです.
 人口だって減っています.それに比例して,皇族が減ることも自然だと理解し,受け入れる必要があるはずです.
 そして,私以外の方からは到底受け入れられない考えだとは思いますが,生まれながら,国民の奴隷とも言える立場から逃れることのできない「皇族」という存在は,改められるべきだと思っています.
 最近は,天皇の果たした役割などを考えれば,天皇制を直ちに「廃止」すべきとまでは思いませんが,とある血縁関係者だけでこれを担うのではなく,志のある方を民間から登用するということでも良いと思っています.むしろ,そのような意志のある方に担ってもらうというのが理に適ってないでしょうか.

 猫の話に戻りますが,結論として,うちの猫については,全て抜歯することなく,悪いところだけ抜いてもらい,牙は残したいという方向で考えています.

 確かに,うちにいる以上,歯を全部抜いたとしても,キャットフードを飲み込むように食べれば良いだけ(今でもそうです)なので,食べ方は下手になっても,歯がなくても,それほど不自由な生活にはならないと思われます.

 しかし,全部の歯を抜くとなると,猫が大きな欠伸をしたときに見える立派な上下の牙も抜くことになってしまうことになります.そのことを猫としてどう思うか.

 もし自分が猫だとすれば,やっぱり,人間の都合だけで猫の尊厳を奪われるのは,やはり嫌ですし,自分がそうだったとすれば死ぬほど辛いと思うんですよね.
 乳がんで乳房を切除した方の喪失感が大きいということを聞いたことがありますが,動物であったとしても,それと同じではないかと思います.
 今後,別の歯が悪くなれば,その都度抜歯のために手術をしなければならないかもしれませんが,少しでもこの子(猫)が,「猫」であり続けるためにできることをしてあげようと思う次第です.

 最後に,猫と比較することではありませんが,皇族・皇室についても,人権が及ばないという一言で片付けずに,彼らの尊厳や幸せを考えて検討されることを願いたいと思います.