【相談内容】
退職した従業員から,未払いの残業代があると主張され,支払うよう請求を受けています。会社としては,職務手当(定額/月)を残業代として支払っていたと説明しているのですが,この場合どうなるのでしょうか。
【ご回答】
その職務手当が,残業代として支払われたと認めてもらえるかどうかにかかっています。
そう認めてもらえるかどうかのポイントは,①会社としてそう認識するだけでなく,従業員もそのように認識していたか,②従業員がそのように認識していなくとも,契約書・就業規則等で明示していたか,③契約書等で明示していたとしても,その他の事情により,残業代としての性格が否定されないかという観点で判断することとなります。
このご相談では,固定残業代の名称が職務手当ですので,基本給とは別に設定され金額も決められていると思いますが,「基本給に含めている」「基本給のうち◯万円が残業代」という言い分は認めてもらえません。このことは,上記①,②と関係します。
さらに,上記③の点では,労働時間の設定や給与全体における職務手当の位置づけからも,残業代としての性格が否定される場合があります。
基本的には,残業代を定額で支払うことはお勧めしておりません。一度,そのような給与体系にしてしまうと,後戻りができない場合もあります。
不安がある場合には,お早めにご相談ください。