【相談内容】
退職代行業者が,従業員に代わって退職を伝えてきたのですが,本当に,退職と扱ってしまって良いでしょうか?
また,最後の給料について,従業員名義ではありますが,会社に届け出てある口座とは別の銀行口座への振り込みを指定してきましたが,振り込んでしまって良いのでしょうか?
【回 答】
いずれについても,慎重に判断し,特に,給料の支払いについては,会社の事務所で直接支払うから取りに来てもらうようにしたほうが良いと思われます.
1,退職について
原則的には,従業員本人から退職の申出を受ける必要があります.
その退職代行業者が,従業員本人から委任を受けていることが明らかであればそれでも良いのですが,後々,退職の申出はしていないと言い出されても困りますので,可能な限り,本人から退職届の提出を求め,それを待つべきです.
2,給料について
給料は,本人に直接支払わなければなりませんし,第三者に支払ってしまった場合であっても,本人から支払いを求められれば,支払いを拒めない場合も想定されます.
確かに,指定された口座が従業員名義であれば良いようにも思われますが,従業員本人がそれを指定したわけではありませんし,同姓同名の別人の口座である可能性も否定はできません.
まして,従前から届出のあった口座とは別の口座が指定されたことも,従業員本人からそれ相応の理由について説明がされない限りは,疑ってかかるべきです.
そのため,従前の届出のある口座に振り込むことも考えられますが,これら一連の出来事を踏まえれば,従業員本人へ確実に支払うために,直接手渡しで支払うことが確実と思われます.