【相談内容】
会社の従業員が,自己啓発セミナーに通い始めたところ,休憩時間中に他の従業員を勧誘して困っています。
一度,勧誘行為をしないように注意をしたところ,「休憩時間は自由に利用できるはずだ」と反論されました。
どうしたら良いでしょうか。
【ご回答】
止めるよう注意してください。
その従業員さんは,休憩時間の自由利用を根拠に勧誘行為を正当化していますが,そもそも,会社の施設は,労働契約に基づき業務を行うために,その限度で従業員の利用が認められているものです。
休憩時間を自由に利用できることと,休憩時間に施設を無制約に自由に利用できるということとは,全く異なります。
例えば,自動車整備工場に勤めている従業員が,休日,自己の所有する自動車の整備のために事業場に訪れて,工具や機械設備を自由に利用しても良いということにはならないはずです。
事業場にある工具や機械設備は,会社の所有物であって,業務に従事してもらうためにその限度で使用を認めているだけだからです。
そのため,自己啓発セミナーへの勧誘を,会社の敷地外で行うならばともかく,休憩時間中に会社内で行うということであれば,会社としては,施設の管理権限を理由として,注意することに何ら問題ありません。
「勧誘のためにこの場所を自由に使って良いものではない」と伝え,止めるように注意してください。
なお,これを理由に従業員に対して懲戒処分を行いたい場合には,これにより職場の秩序が乱れたかどうかといった,損害の有無が問題となる場合もあります。手順を誤ると反対に懲戒処分が違法となることもありますので,そのようなときには,改めてご相談ください。