(離婚)「揉めてはいませんが」

【相談内容】
相談者:離婚の相談をしたいのですが,可能ですか?が,どうしたら良いでしょうか?
弁護士:あまり力を入れている分野ではないので,一般的なことであれば可能です.
    また,特別な理由がなければ,代理の依頼をお受けしないと思います.
相談者:揉めてはいませんが,私に代わって交渉して欲しいんです.
    お互いに離婚はして良いいんです.
弁護士:何を交渉するのですか?
相談者:養育費です.

【回  答】
離婚の事件では.離婚それ自体について,双方が離婚する意向を有していても,親権やお金(養育費,慰謝料,財産分与)で合意ができていなければ,すぐに離婚できないと思った方が良いです.

ですから,上記の相談者のケースは,すでに「揉めている」事件といえます.
経験上,すぐに解決(離婚)に至るとは思われません.

ごく稀に,離婚だけ先行して行い,引き続き,養育費について調停で話し合いを行うようなケースもありますが,稀なケースです.

離婚しない限り,婚姻費用の分担をする必要があるため,費用を負担しなければならない当事者からすれば,離婚して身軽になってしまいたいとの動機を有することとなります.そうすると,養育費を多くもらいたい側の当事者にとっては,十分な養育費の合意を取り付けやすい状況にあるといえますので,容易に離婚しない方が良いとの考えに至りやすいことになります.

このように,離婚する際の条件を協議するためには,双方のメリット・デメリットを考えながら協議が進みますので,お金を含む条件の交渉を含む場合には,とてもとても「揉めていない」とはいえません.

遠方の〇〇地裁に提訴

【相談内容】
会社のホームページに掲載した写真が,フリーの素材だと思っていたら,著作権侵害だということで,損害賠償請求すると連絡がありました.
知らずに使ってしまったのは申し訳ないのですが,賠償に応じなければ,私の居住地から遠方にある東京地方裁判所に提訴するといわれ,半ば脅しのように聞こえますが,どうしたら良いでしょうか?

【回  答】
いわゆる「管轄」の問題ですので,その賠償を求める方が,管轄が認められる裁判所に提訴すること自体を止めることはできません.しかしその場合であっても,どこの裁判所に管轄が認められるかは,意外に重要な問題ではあります.

もっとも,最近の民事裁判は,インターネット回線上で,ウェブ会議により行われることがほとんどですから,仮に東京地方裁判所に提訴されたとしても,実際に東京地裁まで出向かなければならない事態は,それほど多くは生じないと思われます.

当事務所でも,労働審判ですが,東北地方にお住まいの依頼者の事件について,仙台地裁と福岡県にある当事務所とをウェブで繋ぎ,期日に臨んだことがあります.

もちろん,証人尋問が行われるような場合には,実際に裁判所まで出向く必要がありますが,ご相談の事件に限らず,多くの事件では客観的な証拠が重要となることがほとんどで,証人尋問まで行わなければならないことは割合としては少ないはずです.

また,仮に居住地から遠方の裁判所に提訴されたとしても,審理する裁判所を変えることができる場合もありますし,裁判所も,当事者が出頭のために長距離の移動を要する場合には,そのことも考慮して審理を進めてくれることが多くあります.
その事件事件で,対応が異なってくると思いますので,詳しくは弁護士にご相談ください.