私は非常に性格が良くない方ですが,ここでは,私のことではなく,国旗の損壊等の処罰に関する法律(国旗損壊罪)の成立を推進する政治家についてです.
なぜそう思ったかというと,多分,国内の行為だけが処罰の対象なんですよね.
刑法には,国内での行為のみならず,国外での行為を罰する旨の規定もありますが,国旗損壊罪は,刑法の特別法として,独立した法案が衆議院には提出されています.
そして,そこには,国外での行為,更には国外での国民以外の行為を罰する旨の規定はありません.そのため,外国で,外国人が行う場合は罰せられません.
さらに,規定を見る限りでは,国民が国外でこれを行っても処罰の対象になるような規定にはなっていないようです(今後の議論や具体的な条文によっては変わってくるかもしれません.).
ところで,国旗損壊罪の創設を推進する方々は,どちらかというと右寄りという方々が多いはずですよね.
そうすると,彼らは,国民に限らず,過去に日本が植民地支配したといわれている外国の方などが,日本の戦争責任等を求め日本国旗を毀損する行為に及んだときに,それを見て不快に感じるものと想像します.
そのため,本当は,そのような行為に及んだ方の所属する国に対して抗議し,さらには,可能であれば処罰したいと考えるのではないでしょうか.
しかし,処罰の範囲・対象は国内だけです.
これはどのように理解したらいいんでしょうか?
外交上難しいということが理由なんでしょうか?
もし仮にそう考えれば,この国旗損壊罪は,この国の国土にいる間に,国民であるか否かを問わず,国旗を損壊すると処罰の対象となるということを意味します.
つまり,その意味を考えれば,国内にいる限りは,国旗を象徴とする「国」に対する忠誠を誓うことを求めているということになりますよね.
そうすると,積極的には表現の自由の制限であるのみならず,消極的には,内心の自由にまで踏み込んできていることになりませんか?
だって,国旗を損壊しない限り,法律を守ることで,国旗に対する肯定的な意思を表現していることになってしまいませんか?
そうではなく,本当は,海外で行われる同様の行為についても「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」であれば処罰したいというのが,この法案の成立を推進する政治家の本音であるはずです.
そうだとすれば,国内という政治家自らの権力が及ぶ範囲(国土)において,国民又は国内に住む外国人に対して,その優位な立場で法律を制定し,自分たちの不快に思う行為(国旗の損壊行為)を処罰の対象とするということは,価値観の押し付けであるとともに,弱いものいじめではないでしょうか.
私の場合,労働事件の依頼を受けることが多く,使用者側で事件を受ける時の社長の様子からは,「飼い犬(従業員)に手を噛まれた」という感覚を抱いているように見受けられることがよくあります.
政治家が創設しようとする国旗損壊罪は,結局,国民を「飼い犬」ぐらいにしか考えておらず,その「飼い犬」たる国民が国旗を損壊して自分たちの権利を主張することが我慢ならないということなんですよね.
加えていえば,国民は,日本が嫌になったとしても,そう簡単に海外に移住することができるものではありません.国旗損壊罪の立法は,それができないことを分かった上でのことですよね.
そのような感覚・考えが立法の動機であると推測される以上,彼らは,非常に性格が悪いと思います.