パワハラと言われないための視点

【相談内容】
セクハラと異なり,従業員を指導をする場合に,パワハラとなるかならないのかの境界が曖昧で困っています。
管理職が萎縮してしまい,必要な業務指導も躊躇してしまいます。

【ご回答】
業務指導を行う場合,あるいは,すでに行われた行為がパワハラとなるかならないかの判断は「目的」「手段」を検討することが有用です。

例えば,あなたに対して,物を投げて渡した従業員がいたとします。この時,物を投げて渡すことを繰り返さないように,注意する必要があります。

しかし,その注意をする目的が,物を投げて渡すという失礼な態度に腹をたて,その感情を満たすために注意をするということであれば,そのような業務指導はパワハラになりかねません。まずは,注意する目的が正当ないし重要かを考えて,行動に移すようにしてください。

もっとも,目的が正当であっても,手段を間違えるとパワハラとなる場合がありま。

例えば,あなたが,物を投げて渡すことの危険性を理解してほしいと考え,その従業員に対して物を投げ返した場合はいかがでしょうか。注意する目的は正当であっても,そのための手段として相当でないことは明らかです。
反対に,怒鳴りつけることは感情を吐き出す行為と捉えられ,相当ではないようにも写りますが,その物を投げることで非常に危険な結果を生じるようなときは,すぐにその場で注意しなければなりませんし,それが大声となったとしても,相当でないとは判断されないと思われます。

このように,目的と手段という2つの視点でパワハラといえるかどうかを検討することで,萎縮せずに,業務指導を有効に行いやすくなるはずです。

なお,セクハラについては,目的自体が不当ですので,正当化されることは決してありません。パワハラと違うことにご注意ください。

固定で残業代は払っています!

【相談内容】
退職した従業員から,未払いの残業代があると主張され,支払うよう請求を受けています。会社としては,職務手当(定額/月)を残業代として支払っていたと説明しているのですが,この場合どうなるのでしょうか。

【ご回答】
その職務手当が,残業代として支払われたと認めてもらえるかどうかにかかっています。

そう認めてもらえるかどうかのポイントは,①会社としてそう認識するだけでなく,従業員もそのように認識していたか,②従業員がそのように認識していなくとも,契約書・就業規則等で明示していたか,③契約書等で明示していたとしても,その他の事情により,残業代としての性格が否定されないかという観点で判断することとなります。

このご相談では,固定残業代の名称が職務手当ですので,基本給とは別に設定され金額も決められていると思いますが,「基本給に含めている」「基本給のうち◯万円が残業代」という言い分は認めてもらえません。このことは,上記①,②と関係します。

さらに,上記③の点では,労働時間の設定や給与全体における職務手当の位置づけからも,残業代としての性格が否定される場合があります。

基本的には,残業代を定額で支払うことはお勧めしておりません。一度,そのような給与体系にしてしまうと,後戻りができない場合もあります。
不安がある場合には,お早めにご相談ください。

退職した従業員が競業他社で営業しています

【相談内容】
退職した従業員が,競業他社に就職し営業しています。このままだと,その従業員が担当者した自社の顧客を奪われかねません。

【ご回答】
退職した従業員が,競業避止義務を負う場合がありますので,あらかじめ,その点をお伝えしておくことをお勧めします。
方法としては,書面で通知することも考えられますが,裁判手続を利用して行うことがお勧めです。裁判所で競業避止について約束してもらえば,ある程度の牽制になるはずです。

なお,実際に顧客を奪われたとしても,そのことを証明することは非常に困難です。従業員に対して,あるいは競業他社に対して損害賠償を請求しても,うまく行った裁判例はあまり多くありません。
そうならないために,先に手を打つことをお勧めします。