冷凍精子で配偶者の同意なく体外受精した場合の責任

【相談内容】
配偶者の精子を凍結して保存していますが,配偶者(夫)が子供を持つことに消極的なため,同意なく体外受精して妊娠・出産したいと考えています。
何か法的に問題はありませんか?

【ご回答】
配偶者の自己決定権を侵害して,不法行為となる可能性があります。

おそらく,医療機関においては,あなたと配偶者の双方の同意のもと体外受精を行うはずですので,配偶者の同意なしにこれを行うことは難しいと思います。

しかし,とある裁判例では,配偶者の同意書を偽造することにより医療機関を誤診させて,実際に体外受精を経て,妊娠・出産に至ったケースがあります。

ところで,親となって,子を養育する生き方を選択するかどうかは,配偶者本人にとって重要な事項であり,その自己決定をする機会が保障されなければなりません。この機会を保障しない場合,自己決定権を侵害するものとして不法行為が成立する可能性があります。

この裁判例では,自己決定権を侵害したものとして慰謝料の支払いが命じられました。