仕事を辞めさせてくれませんか?

【問い合わせ内容】

1年契約でアルバイトを始めましたが,学業(大学)が忙しく,アルバイトを続けて行けそうにありません。辞めることはできますか?最初に勤務してからまだ1か月ですので,その分の給料は貰わなくても構わないと思っています。

【ご回答】

結論から言えば,辞めることはできます。

ただ,1年間という約束で契約ですので,途中で辞めるためにはそれなりの理由が必要にはなってきます。

しかし,雇用関係は,首に縄をつけて強制的に仕事をさせることまではできませんので,そのような意味では,あなたが出勤せずに,退職願を出すことで,結論として辞めることはできます。あとは,雇い主から,契約期間を待たずに辞めたことで損害が生じたという理由で,損害賠償を求められるかもしれません(あまり考え難いとは思いますが。)。

ちなみに,余計なことですが,あなたのいう「学業が忙しく」というのは,仕事を辞めたい本当の理由ではないように思います。アルバイトを開始されてまだ1月程度ということからすれば,本当は,仕事がキツいとか,職場が厳しいということが理由のように推測されます。

職場で,法律に違反して長時間労働が行われているような場合や酷いハラスメントが行われるのであれば別ですが,学業との両立を目指しながら,最初の約束した期間アルバイトを続けて,社会に出ていくための経験を積まれた方が,今後の財産になると思います。

とある社労士の先生のご活躍

先日,とある社労士の先生が,その顧問事業場の担当者を連れて,私の事務所にやってきました.相談内容は,退職した労働者から残業代(約260万円)の支払いを求められているとのことでした(もちろん,金額に争いはあります.)が,本日,その先生から

「金額も減らすことができ,納得のいく内容で和解できました」

と連絡がありました.

この件では,当事務所に来所された際には,私が事実関係を検討し,事件の見通しを説明した上で,依頼を受けた場合の費用等の説明もしました.その時点では,その先生もその事業場の担当者も,私に依頼をする意向でした.しかし,その先生が

「この件で,労働基準監督署からも呼び出しを受けていて,監督官からは『120万円は支払いが必要でしょうね』と言われているので,それだけで部長(注:事業場の担当者)はとてもストレスが溜まっています.」

と言ったので,私はその先生と事業場の担当者に対し

「あ〜,そんな状況なんですね.それなら先生がご対応されたらいいですよ.弁護士でなくとも大丈夫ですよ.私に依頼すると,この金額だと,ちょっと割高になるかもしれませんから」と言い,その社労士の先生に今後の対応方法をアドバイスし,相談料だけ支払ってもらい帰ってもらいました.そうしたところ,冒頭の吉報が届いたというものです.

長い間,社労士の先生方に対し,紛争解決の研修を行なっておりますが,残念ながら,受講された先生方から,目に見える成果をお聞きする機会があまりありません.そのような中で,私のアドバイスにより,社労士の先生の対応が良い結果につながったことと,今回の経験が,その先生の大きな自信となるであろうことを,とても嬉しく思ったところでした.

お金に困って自殺を考えたときは・・・

【お問い合わせ】

借金があり,自殺して楽になりたいと考えています。

【回答】

あなたがどうしても自殺するというのであれば,私はそれを止めることはできません。

しかし,それが借金に関することであれば,①任意整理,②破産,③民事再生といった方法により,借金の負担をなくすことはお手伝いできます。

もちろんその場合,クレジットカードを使用するなど,これまでと同じような生活はできないかもしれませんが,借金を理由に自殺したいと考えることはなくなると思われます。

なお,私は,借金の取り立てをする立場で依頼を受けた事件について,債務者が自殺した経験があります。私自身は依頼者の正当な利益の実現を図るために仕事をしたまでですので,何も後ろめたいことはないと考えています。ただ,その債務者が,死を選ぶ前に,私以外の弁護士に相談してさえいれば,何か違った方法を選ぶことができたのではないかと思われます。

ぼったくりバーに入ってしまったら

【お問い合わせ】

ぼったくりバーに入ってしまいました。今まさに,法外な額を請求されています。

【回答】

とりあえず,警察に駆け込みましょう。近くの交番で構いません。

請求された料金からして,それが本当に「ぼったくり」と言えるかどうかは別にして,それが詐欺等の犯罪行為に該当しなければ,本来的には,警察の出番ではありません。

しかし,法外な額を請求されている状況で,お店側もそのことが分かっているのであれば,あなたが警察に駆け込むことで,ある程度,お店側も譲歩することが見込まれます。

また,警察も,このようなケースを単なる民事上の争いだとは考えていないようですので,まずは,警察の力を借りるべきです。

もし仮に,一旦お金を払ってしまうと,後日,ぼったくりだということを理由にお金を取り戻すことは,極めて難しいと思われます。

なお,数年前の元旦の午前1時頃,お世話になっている方から私の携帯に電話がかかってきました。どうやら,空いているお店がなく,客引きに誘われるがままお店にはいったところ,法外な金額を請求されたとのことでした。3名で入店したとのことでしたので,とりあえず,交番へ行くようにアドバイスをしました。そうしたところ,警察官立ち合いのもと,交番の中で,ぼったくりバーの店員と私の知人との間で,飲食代金を確定するための和解が行われ,無事に解決したとのことでした。

何れにしても,怪しいお店には入らないということが一番だと思われます。

「お金を貸して」

【お問い合わせ事例】

知人から,お金を貸して欲しいといわれています。

【回答】

1,貸すべきではない

あなたが貸金業を営んでいるのでなければ,知人ということを理由に貸すことは避けるべきです。お金を必要とする理由はともかく,銀行で借りることを勧める,一緒に窓口まで行くなどすることが賢明だと思われます。

単に生活に困っているということであれば,市役所で生活保護の申請を行う,ハローワークに行き仕事を探すなど,アドバイスするべきです。

2,あげた方が良い

どうしてもなんとかしてあげたいと思うのであれば,貸すのではなく,可能な範囲で,お金をあげたほうが良いと思われます。「本当に返してくれるだろうか。」と疑心暗鬼になって知人・友人関係が破綻していくぐらいなら,その方が良いと思います。

あるいは,財布の中にあるお金を全て差し出して,それ以降の知人・友人関係を絶ってしまった方が良いかと思います。

3,貸すのであれば

一応は,返してもらえないことを覚悟すべきです。

借用書を作成することは,最低限行うべきです。可能であれば,保証人をつける,不動産を担保にいれるということも行うべきです。

さらに,現金で渡すのではなく,銀行口座に振り込んで貸す方が良いでしょう。理由は,返してもらえないときに,銀行の預金を差し押さえることが必要な場合があります。その時,預金がどこにあるのかを調べることは意外に大変です。また,振込であれば,お金を渡したことが記録に残ります。そのようなことから,銀行口座を確認できるよう,振込にしておく方が良いと思われます。

なお,私が弁護士を始めてから以降,個人間でのお金の貸し借りで,最終的にお金を返してもらったという方を見たことがありません。もちろん,返してもらえないから弁護士事務所に相談にくるのだと思いますが,とある依頼者は,お金を貸す時に,振込で貸したことから,たまたま,知人の預金口座を知っていました。そのため,裁判を起こし,判決が出た後に,預金口座を差し押さえて,約160万円を取り戻したことがありました。この事件は,引き続き,財産を探索して,返還を求めている最中です。

 

お金を貸す時は,本当に貸すべきか,貸すとすればどうすべきか,よく,ご検討ください。あらかじめご相談に来られた上で,判断されると良いかと思います。

問題のある従業員がいます

【お問い合わせ事例】

とある従業員の勤務態度に困っています。理由は,別の従業員に対してパワハラとも言える言動に及んぶため,パワハラを受けた従業員は,こらえきれずに泣き出してしまうこともあります。

そのため,法律事務所や社労士事務所でこの従業員さんのことを相談しても,「注意して指導しましょう。」と言われますが,かえって反抗的な態度を取られてしまい,手に負えません。また,「指導した記録を残しましょう。」とも言われますが,その日の指導した内容は,私の手帳に書き留めています。

すぐにでも解雇したいと思いますが,いかがでしょうか。

【回答】

すぐに解雇することは,一旦思いとどまるべきです。理由は,解雇するだけの理由があると言えるかどうか十分に検討する必要がありますし,必要があるとしても,そのことが明らかとなる資料を残しておく必要があるからです。

そのためにも,パワハラがあれば,指導して,その記録を残す必要があります。その際,タイトルはなんでもいいので,「指導書」を作成してパワハラを行った従業員に交付してください。

この時の指導書作成及びその取り扱いのポイントは以下のとおりです。パワハラだけではなく,業務中の問題行動があり,指導しなければならないことがある場合もこのような方法をとると良いと思われます。

(1)パワハラとして行われた事実を,5W1Hを意識して具体的に記載すること

(2)指導書の作成者と作成日付を記載すること

(3)パワハラを行った本人に交付して,上記(1)が事実であり間違いがないことを確認し,その旨および指導書受領のサインをもらうこと

(4)上記(3)で受領を拒んだ場合には,無理に受領を求めずに,そのことを付記すること(「受領しません」とのサインを求めることができればその方がベターです。)

(5)指導書の記載事項について,期限を定めて,改善(ないし反省)の報告を,書面でもらうこと

(6)指導書と本人からの改善報告の書面を,会社内の管理職ないし担当者で回覧し,回覧した記録を残すこと

以上のような指導の結果,それが改善されなければ解雇も検討しなければならないと思われますが,改善されれば,解雇の必要もなくなると思われますし,その方が,企業としての労務管理上のリスクは少なくなるはずです。

懲戒解雇したい従業員がいます

【お問合せ事例】

会社のある従業員が,商品の代金を横領していたことが,最近,分かりました。この従業員を懲戒解雇しようと考えていますが,何か気をつけることはありますか?

【当事務所のアドバイス】

気をつけることはいろいろありますが,当事務所としては,懲戒解雇する必要がなければ,懲戒解雇も,普通解雇もしないようにアドバイスします。できる限り,自己都合退職してもらうようにしてもらいます。

その理由は,懲戒解雇することに実益がないからです。

確かに,会社としては,会社・従業員のみんなで稼いだ利益を,個人的に着服されることは非常に腹立たしいことですが,だからと言って,その従業員に制裁を加えたとしても何も良いことはありません。それよりも,損害を弁償してもらえるようにどうするかが大事なことです。

また,他の従業員に対して示しがつかないということもありますが,①横領したことを認め,責任を取って退職してもらった,②横領した金額は全額賠償することを約束させたことを周知できれば,それで十分と言えます。

もちろん,会社に退職金制度があり,懲戒解雇にしなければ退職金を満額支払わなければならない場合には,懲戒解雇を検討することにもなりますが,そうでない場合には,基本的には懲戒解雇だけでなく,普通解雇も勧めません。

解雇してしまえば,損害賠償について,建設的な話し合いもできなくなるでしょうし,場合によっては,解雇権の濫用だといって,訴訟を起こされる可能性が残ることになります。

それよりも,横領の事実を認めさせ,自責の念があるうちに,退職届を出してもらい,それとあわせて,損害賠償の方法を,書面で約束させることが最善の対応策だと考えられます。

以上のような理由から,当事務所では,お問合わせのような場合には,懲戒解雇も,普通解雇も,しなくてよければ,しないようにアドバイスをしています。