警察に逮捕されたら・・・

【相談内容】警察から逮捕されました。どうしたらいいですか?

【回  答】
次の3つのことをおこなってください。

①弁護士を呼んでもらうこと
②警察・検察に対しては一切事件(逮捕された被疑事実)について話さないこと
③弁護士と決めた弁護方針を守ること

特に重要なことは,②です。
そして,弁護士と相談して弁護方針を決めた時,警察・検察の取り調べで一切喋らないこと(黙秘すること)を決めた時は,絶対に,最後まで貫いてください。

警察・検察は,あなたを悪者にすることで,評価が上がります。
あなたが事実を語ったとしても,あなたの事実を潰そう(裏を取る)とすることはあっても,「無罪である」ことの証拠を集めてくれることはありません。

精神的に辛いと思いますが,黙秘したことは,裁判になったときにあなたを助けてくれます。その時の頑張りはあなたを裏切ることはありません。

仮に,あなたが犯罪を犯したとすれば,それは,裁判官の前で素直に認めれば良いだけのことです。それと一緒に反省の態度も示せば,それで十分です。

数少ない例外的な場合を除いては,黙秘することが鉄則です。
なお,黙秘しない方が良い「例外的な場合」にあたるかどうかについては,来てくれた弁護士さんにお尋ねください。

破産をお考えの方へ

【相談内容】
消費者金融やクレジットカードの返済がキツく,破産を考えています。
弁護士に相談に行くまでに,何かしておいた方がよろしいことはありますか?

【ご回答】
まずは,弁護士に相談に行くまでに,次の3つのことをしておくと,弁護士に相談してから破産の申し立てまでがスムーズに行えます。


①返済をストップする
②家計簿をつける
③消費者金融からの通知等を揃える

特に,家計簿をつけることにより,破産をしたのちに,収入の範囲内で生活ができるかどうか,生活をできるようにすることが重要です。
破産をすれば,お金を借りることはできなくなります。ローンはおろか,当分の間は,カードも作れません。

他にも細かなことはありますが,まずは上の3つから始めてください。

冷凍精子で配偶者の同意なく体外受精した場合の責任

【相談内容】
配偶者の精子を凍結して保存していますが,配偶者(夫)が子供を持つことに消極的なため,同意なく体外受精して妊娠・出産したいと考えています。
何か法的に問題はありませんか?

【ご回答】
配偶者の自己決定権を侵害して,不法行為となる可能性があります。

おそらく,医療機関においては,あなたと配偶者の双方の同意のもと体外受精を行うはずですので,配偶者の同意なしにこれを行うことは難しいと思います。

しかし,とある裁判例では,配偶者の同意書を偽造することにより医療機関を誤診させて,実際に体外受精を経て,妊娠・出産に至ったケースがあります。

ところで,親となって,子を養育する生き方を選択するかどうかは,配偶者本人にとって重要な事項であり,その自己決定をする機会が保障されなければなりません。この機会を保障しない場合,自己決定権を侵害するものとして不法行為が成立する可能性があります。

この裁判例では,自己決定権を侵害したものとして慰謝料の支払いが命じられました。

パワハラと言われないための視点

【相談内容】
セクハラと異なり,従業員を指導をする場合に,パワハラとなるかならないのかの境界が曖昧で困っています。
管理職が萎縮してしまい,必要な業務指導も躊躇してしまいます。

【ご回答】
業務指導を行う場合,あるいは,すでに行われた行為がパワハラとなるかならないかの判断は「目的」「手段」を検討することが有用です。

例えば,あなたに対して,物を投げて渡した従業員がいたとします。この時,物を投げて渡すことを繰り返さないように,注意する必要があります。

しかし,その注意をする目的が,物を投げて渡すという失礼な態度に腹をたて,その感情を満たすために注意をするということであれば,そのような業務指導はパワハラになりかねません。まずは,注意する目的が正当ないし重要かを考えて,行動に移すようにしてください。

もっとも,目的が正当であっても,手段を間違えるとパワハラとなる場合があります。

例えば,あなたが,物を投げて渡すことの危険性を理解してほしいと考え,その従業員に対して物を投げ返した場合はいかがでしょうか。注意する目的は正当であっても,そのための手段として相当でないことは明らかです。
反対に,怒鳴りつけることは感情を吐き出す行為と捉えられ,相当ではないようにも写りますが,その物を投げることで非常に危険な結果を生じるようなときは,すぐにその場で注意しなければなりませんし,それが大声となったとしても,相当でないとは判断されないと思われます。

このように,目的と手段という2つの視点でパワハラといえるかどうかを検討することで,萎縮せずに,業務指導を有効に行いやすくなるはずです。

なお,セクハラについては,目的自体が不当ですので,正当化されることは決してありません。パワハラと違うことにご注意ください。

固定で残業代は払っています!

【相談内容】
退職した従業員から,未払いの残業代があると主張され,支払うよう請求を受けています。会社としては,職務手当(定額/月)を残業代として支払っていたと説明しているのですが,この場合どうなるのでしょうか。

【ご回答】
その職務手当が,残業代として支払われたと認めてもらえるかどうかにかかっています。

そう認めてもらえるかどうかのポイントは,①会社としてそう認識するだけでなく,従業員もそのように認識していたか,②従業員がそのように認識していなくとも,契約書・就業規則等で明示していたか,③契約書等で明示していたとしても,その他の事情により,残業代としての性格が否定されないかという観点で判断することとなります。

このご相談では,固定残業代の名称が職務手当ですので,基本給とは別に設定され金額も決められていると思いますが,「基本給に含めている」「基本給のうち◯万円が残業代」という言い分は認めてもらえません。このことは,上記①,②と関係します。

さらに,上記③の点では,労働時間の設定や給与全体における職務手当の位置づけからも,残業代としての性格が否定される場合があります。

基本的には,残業代を定額で支払うことはお勧めしておりません。一度,そのような給与体系にしてしまうと,後戻りができない場合もあります。
不安がある場合には,お早めにご相談ください。

退職した従業員が競業他社で営業しています

【相談内容】
退職した従業員が,競業他社に就職し営業しています。このままだと,その従業員が担当者した自社の顧客を奪われかねません。

【ご回答】
退職した従業員が,競業避止義務を負う場合がありますので,あらかじめ,その点をお伝えしておくことをお勧めします。
方法としては,書面で通知することも考えられますが,裁判手続を利用して行うことがお勧めです。裁判所で競業避止について約束してもらえば,ある程度の牽制になるはずです。

なお,実際に顧客を奪われたとしても,そのことを証明することは非常に困難です。従業員に対して,あるいは競業他社に対して損害賠償を請求しても,うまく行った裁判例はあまり多くありません。
そうならないために,先に手を打つことをお勧めします。

別居・離婚は計画的に?

【相談内容】
配偶者の振る舞いに耐えかねて,子供を連れて別居しようと考えていますが,何かアドバイスはありますか?

【ご回答】
別居して,仮に,配偶者から経済的な協力が得られなくとも,自らの収入や公的な給付その他ご親族の援助等で生活ができるだけの準備ないし目処をつけてから,計画的に行動に移されることをお勧めします。

<養育費や婚姻費用が請求できますよね?>

法律上,別居中であっても,離婚していなければ婚姻費用を配偶者に請求することはできますし,離婚後は,子供を引き取って養うのであれば,養育費を請求することもできます。
また,離婚に伴い,結婚してから築いてきた財産の半分を請求すること(財産分与)や,離婚の原因によっては慰謝料を請求することができる場合があります。

これだけを聞くと,別居・離婚しても,(元)配偶者から得られる費用で,経済的になんとかなりそうに思えますが,現実はそれほど甘くありません。

<養育費を払わない場合は給料を差押えできますよね?>

婚姻費用であっても養育費であっても,(元)配偶者が支払いをしてくれれば良いですが,必ずしも任意に支払ってくれるとは限りません。裁判手続(調停・審判)を経て,差押えまでしなければならない場合には,それまでにかなりの時間を要しますし,必ず差押がうまくいくとも限りません。

また,別居後,シェルターに一時的に避難することも考えられますが,いずれはそこを出る必要がありますし,その時に,すぐに新たな部屋が見つかるとは限りません。特に,子の転校を避けたいときには,選択肢は限られますし,何よりも,まとまった費用を支出しなければならないことに変わりありません。

<いつまでもあると思うな(元)配偶者と金?>

さらに,幸にして,婚姻費用や養育費が支払われるとしても,いつまでもそのような状況が続くとは限りません。(元)配偶者の経済状況や健康状態によっては,それらのがストップすることも十分にあり得ることです。
お金がないところからお金を取ることはできません。

私が直接離婚に携わった事件ではありませんが,自営業者である配偶者の経営悪化により,婚姻費用の減額を余儀なくされた方や,元配偶者の病状の悪化により,それまで支払われていた養育費がストップした方もいますし,(元)配偶者が逮捕され職を失いかけた方もいました。

また,生命保険の受取人も,離婚に伴い変更される場合が多いものと思われます。

<駆け落ちして結婚しましたか?>

確かに,経済的な状況に万全の体制が整わない限りは別居・離婚を我慢すべきだとまでは言いませんし,不幸にして,配偶者からの暴力等で別居することに一刻を争う(経済よりも身の安全の方が優先されるような)場合もあることは理解しています。

しかし,結婚したときのことを思い出してください。
多くの人は,住む場所も決めず,収入もないまま,逃げるように駆け落ちして結婚したわけではないと思います。いろいろな準備を経て結婚するに至ったはずです。

配偶者からの暴力がある場合であっても,警察に通報し,逮捕・勾留されれば,少なくとも10日間ほどは別居の準備ができるはずです。着のみ着のまま家から逃げ出さなければならないような最悪の状況は回避できます。

そのため,別居・離婚に備えて,あらかじめ市役所に相談するなどして,生活保護等の公的な給付について調べておきましょう。
また,弁護士にもあらかじめ相談しておきましょう。弁護士も,突然のご相談・ご依頼について,書類の作成や裁判手続の準備を行うことは,意外に手間と時間がかかるものです。法テラスを利用する場合,その申請と審査にも当然時間を要します。
そのほか,ご実家からの援助,自らの予想される収入等をにより,できる限り配偶者から自立して生活できるだけの目処が立てられるように,計画的に別居・離婚のご準備をされることをお勧めします。

以上について異論や批判もあるかと思いますが,ご参考になれば幸いです。

自己啓発セミナーへの勧誘

【相談内容】
会社の従業員が,自己啓発セミナーに通い始めたところ,休憩時間中に他の従業員を勧誘して困っています。
一度,勧誘行為をしないように注意をしたところ,「休憩時間は自由に利用できるはずだ」と反論されました。
どうしたら良いでしょうか。

【ご回答】

止めるよう注意してください。

その従業員さんは,休憩時間の自由利用を根拠に勧誘行為を正当化していますが,そもそも,会社の施設は,労働契約に基づき業務を行うために,その限度で従業員の利用が認められているものです。
休憩時間を自由に利用できることと,休憩時間に施設を無制約に自由に利用できるということとは,全く異なります。

例えば,自動車整備工場に勤めている従業員が,休日,自己の所有する自動車の整備のために事業場に訪れて,工具や機械設備を自由に利用しても良いということにはならないはずです。
事業場にある工具や機械設備は,会社の所有物であって,業務に従事してもらうためにその限度で使用を認めているだけだからです。

そのため,自己啓発セミナーへの勧誘を,会社の敷地外で行うならばともかく,休憩時間中に会社内で行うということであれば,会社としては,施設の管理権限を理由として,注意することに何ら問題ありません。
「勧誘のためにこの場所を自由に使って良いものではない」と伝え,止めるように注意してください。

なお,これを理由に従業員に対して懲戒処分を行いたい場合には,これにより職場の秩序が乱れたかどうかといった,損害の有無が問題となる場合もあります。手順を誤ると反対に懲戒処分が違法となることもありますので,そのようなときには,改めてご相談ください。

息子の借金で困っています

【相談内容】
息子が借金を残して行方不明になったということで,代わりに支払ってほしいと,催告書が届きます。
どうしたら良いですか?

【ご回答】
1,息子さんがご存命の場合

放っておけば良いです。
理由は,ご相談者さんには,それを返す「義務」がないからです。
また,催告書に何か返事を出さなければならないのではないかとご心配になるかもしれませんが,ご返事を出さなければならないという法律上の「義務」もありません。

もっとも,催告書が届くのを止めたいのであれば,支払いをする意思がないことを文書で伝えた方が良い場合もあるかもしれませんが,ケースバイケースだと思われます。

なお,どうしてもお支払いになりたい場合にまで,それを止めるという趣旨ではありませんので,その点はご自由にされてください。

2,息子さんが亡くなっていた場合

息子さんに子供がいない場合,ご相談者さんがその借金を相続する可能性があります。
相続しないためには,家庭裁判所に相続の放棄をしなければなりませんので,その場合には,お急ぎになってください。

なお,借金を上回る遺産があるのであれば,それらを相続して,その中からお支払いになるということも可能な場合もあります。

3,保証人となっていた場合

保証人としてお支払いにならなければならない可能性が高いです。
また,保証人になったつもりがないのに保証人となっていたような場合には,保証人として裁判が起こされる可能性も高くなりますので,お早めにご相談されることをお勧めいたします。

「労災は使わないで」と言ったらどうなるか?

【相談内容】
従業員が仕事中に怪我をしたのですが,取引先の仕事をしている最中の事故だったので,取引先から労災にしないで欲しいとお願いされています。
従業員に対して,休業期間中の給料を支払うことを約束して,労災を使わないように対応してしまって良いでしょうか?

【ご回答】
とてもリスクが大きいです。
労災を使わないほうが良い場合というのはなかなか想定し難いですし,監督署への報告義務を免れるものではありません。
また,損害賠償も含めて,全ての補償ないし賠償を行うことは相当な負担となることが予想されますので,再考されるべきです。

1,労災保険及び賠償保険
労災保険を使うかどうかは従業員の自由ですが,会社が,労災から給付を受けられる治療(費)や休業補償を支払うのであれば,使わないという選択肢も取り得ます。
もっとも,労災で受けられる補償は,従業員の損害の一部でしかありません。
治療費や休業補償だけですまない場合(例えば,障害が残るような場合。)に備えて任意の賠償保険に加入しておくべきです。
その上で,労災から受けられる補償は,可能な範囲で受けておくべきです。

2,労働者死傷病報告
仮に,労災保険に補償を請求しないという選択肢はあるとしても,従業員が労災により休業した場合,「労働者災害死傷病報告」という労働安全衛生法に規定されている労働基準監督署長への報告をしなければなりません。
これについては,事業主が提出しなければ,「労災隠し」として罰せられる可能性がありますので,労働者災害死傷病報告の提出は必ず行ってください。

過去の経験からすれば,会社が休業補償を支払うと約束して,従業員に労災を使わないようにしてもらった場合であっても,従業員は,「十分な補償を受けられないのではないか?」という不安から,ほどんどの場合,労働基準監督署に相談に行きます。
そして,労働者死傷病報告を提出していれば良いのですが,それをしていなければ,「労災隠し」が発覚することとなります。
そうなると,事業場が捜索差押の対象となり,最終的には,刑事罰を課せられることとなります。

3,まとめ
労災が起きたときは,労災保険を使った方が良いでしょう(もちろん,労災かどうかの争いがある場合は別です。)。
さらに,労災事故による損害賠償は,労災だけでは不十分ですので,任意の賠償保険をかけておくべきです。
加えて,労働者災害死傷病報告は,速やかに提出しましょう。